突然ですが、今、あなたの上下の歯は当たっていますか?
もし、「カチッ」と当たっていたら、無意識のうちに歯を食いしばっているのかもしれません。
人の歯はリラックスしている時、上下の歯は接触しないで数ミリの隙間があるのが正常です。
なぜそんな話をしているかというと、わたしは数年前、顎関節症の診断を受けました。
口を開くたびに顎がカクカクギシギシいったり、歯や歯茎、顎が痛くなったり口が大きく開けられなくなったので、歯医者に行きました。
歯は欠けたりすり減ったりはしていませんでしたが、顔から首の方までダルおもで辛かったのを覚えています。
原因は、これからお話をする「食いしばり」でした。

調べてみると、現代人の8割に歯の食いしばりがあり、それも無意識のうちに行っているということがわかりしました。
これを読んでいるあなたも8割の中に入っているかもしれません。
どんなときに食いしばりが起きやすいのか?体への影響はどんなものがあるのか?セルフチェックやわたしが実践するセルフケアの方法をご紹介していきたいと思います。
セルフチェックしよう!
「歯を食いしばる」というと、多くの方が「睡眠中の歯ぎしり」をイメージすると思います。
「歯ぎしり」と「食いしばり」は同じようで、実はタイプが違います。
「歯ぎしり」とは、上下の歯をこすり合わせるものです。「ギリギリ」や「ガリガリ」とすごい音を鳴らす方もいるでしょう。
一方、歯を「グッ」と強い力で噛みしめてしまうことを「食いしばり」といいます。音はなりません。一瞬の噛みしめもあれば、数分間噛みしめたままの場合もあります。
「食いしばりなんて自分には関係ない」と思っているあなた!
まあ、そう言わず試しにセルフチェックをやってみましょう。実は、体からのサインを見逃しているかもしれませんよ。
- 朝起きると顎やこめかみが痛い/顎が疲れている
- 舌の側面にガタガタとした歯型がついている
- 知覚過敏がある
- 原因不明の肩こり、首の痛み、頭痛がある
- 頬の内側の部分に白く線が入っている
- 歯の詰め物、かぶせ物が取れやすい
いかがでしたか?1つでも当てはまったら「食いしばり」予備軍と言われています。
歯を食いしばるとまずは口腔内に影響がでます。
噛みしめることで、舌や頬の内側にあとがつきます。歯の詰め物やかぶせ物が取れるのは、詰め物かぶせ物の寿命が原因ですが、食いしばりが強いとそれらの寿命を早めてしまうようです。
そして、噛みしめによる強い圧が歯や歯茎にかかることで「知覚過敏」や「歯周病」を助長させてしまいます。
顎関節症の診断を受けたわたしは、6個中4つ当てはまりました。
1つ以上当てはまった方は、食いしばりについて考えてみる良い機会かもしれません。
食いしばりと頭痛・肩こりの意外な関係
チェック項目に「歯」以外のことがあったので、薄々勘づいている方もいるかもしれませんが、食いしばりの影響は「歯」だけではありません。
食いしばりの影響は全身に広がることがあります。
どんな影響があるのか、代表的なものを4つご紹介します。
| 頭痛 | 噛む筋肉の過度な緊張がこめかみや側頭部に痛みを引き起こす |
| 肩こり・首こり | 顎周辺の筋肉の緊張が、首や肩の筋肉の緊張を招き、慢性的なコリやだるさを引き起こす |
| 姿勢の悪化 | 肩こり・首こりから徐々に全身の筋肉に緊張が波及し、姿勢の悪化を引き起こす |
| 顔への影響 | 顎の筋肉が発達してエラが張る、ほうれい線やしわの原因になる |
もちろん影響のでかたは様々です。
ただ、全ての人に共通していることは、わたしたちの全身は1枚の皮膚で覆われていること。そして皮膚の下にある筋肉は隣同士ぴったりくっついていること。
そのため1つの筋肉が固くなると、気づかない間に徐々に周りにある筋肉も固くなっていきます。
食いしばりで最初に固くなるのは顎の筋肉ですが、周りにある首に繋がる筋肉や頭に繋がる筋肉も徐々に固くしていきます。その結果、肩こりや頭痛として異変を感じることになります。
実際、わたしも顎関節症の診断を受けた時の肩こりはとてもひどかったです。
食いしばりが発生する瞬間はいつ?
食いしばりは、「集中しているとき」「力を入れている時」「睡眠中」の3つのタイミングで起こりやすいと言われています。
- デスクワークやPC作業中。特に締め切り間近や集中しているとき。
- 緊張を伴う車の運転をしているとき(慣れていない道や細い道、急いでいるときなど)
- 重い荷物を運ぶとき
- 筋トレやスポーツで力を発揮しようとするとき
- 勉強や趣味の最中、集中したり熱中しているとき
- テレビを集中して見ているとき(特に大事な場面)
- 言いたいことや痛みを我慢するとき
- 気持ちの整理がついていないときや、自己嫌悪で自分を責めているとき
- ストレスを感じたとき
これらは、わたし自身が顎関節症と診断されてから気づいた、リアルな食いしばりの瞬間です。
もしかしたら、あなたにも同じように当てはまる瞬間があるかもしれません。
睡眠中の食いしばりはあったとしても自覚することが難しく、朝の顎や口腔内の様子で判断するしかありません。でも、日中の食いしばりは気づくことができればコントロールが可能です。
ふとした瞬間、顎に意識を向けてみてください。あなたも噛みしめているかもしれませんよ。
今すぐ出来る!簡単セルフケア
自覚がありどんなに気をつけていても、”無意識”では完全に防ぐことが難しいのが食いしばりです。
そこでわたしは「食いしばらない」ことを頑張るよりも「日常的にケアをする」ことを選びました。
まずは、食いしばりに気づいたら、フッと顎の力を抜きましょう。上の歯と下の歯は当たらないよう意識的に隙間をあけリラックスします。
デスクワークの方は、デスクやPCに「顎の力を抜く」など、張り紙をしておくのも良いかもしれません。
しかし、顎の力を意識的に抜いても、固くなった筋肉はなかなかゆるみません。
そこでわたしも実践する、道具を使わずその場でできる簡単セルフケアを3つご紹介します。

1.カチカチの主犯!「咬筋(こうきん)」マッサージ
頬の横(軽く噛みしめると膨らむ部分)あたりを人差し指などで軽く押さえます。小さな円を描くように、痛くない強さでゆっくり30秒マッサージ。
2.頭痛の時にも使える!「側頭筋」マッサージ
こめかみ周辺を指先で軽く押さえまます。小さな円を描くように、痛くない強さでゆっくり30秒マッサージ。
※どちらも強く押し過ぎに注意です。筋肉は強く押されると反発して固くなる性質を持っているため、優しくマッサージをしましょう。
3.開口ストレッチ
リラックスした状態で、ゆっくりと口を開けます(指2本が縦に入るくらいでOK)。無理のない範囲で数秒キープ。ゆっくりと口を閉じます。10回繰り返します。
※口を開けるときも閉じるときも、ゆっくりと行いましょう。
1日何回やっても大丈夫です。もちろん時間帯も決まっていませんが、仕事の休憩時間やお風呂の時間などリラックスしているときに行うのがベストです。
肩こりや頭痛の自覚症状がない、セルフチェックは当てはまらなかったという方でも、ごはんを食べるとき、話をするときに顎の筋肉は使います。1日中使った筋肉には疲労が溜まっているので、ぜひセルフケアをしてあげましょう。
専門家に相談しよう
わたしのように、すでに何らかの異変を感じているなら専門家(歯医者)への相談をオススメします。
1人で不安を抱えているよりも、専門家の確実な診断とサポートを受けることで、大切な歯を守り安心して過ごすことができます。

最初にお話ししましたが、わたしは口腔内や顎の異変を感じたので歯医者に行きました。そして顎関節症の診断を受けました。
その後、医師から勧められて睡眠時に装着するマウスピース(ナイトガード)を作りました。
わたしが作ったマウスピースは当時で5000円位だったと記憶しています。上下の歯型を取り、噛み合わせもきちんと考慮して作られるので不快感はなく、装着に慣れれば問題なく寝られました。
なにより診断を受けたことで、根本的な原因がわかり、食いしばりを自覚することができました。さらにマウスピースを作ることでコントロールできない睡眠時の不安を取り除くことができました。
まとめ
わたしは今もセルフケアを続けながら顎関節症とつきあっています。
そしてあの時、専門家に相談してよかったと思っています。
歯医者が苦手という方もいると思います。忙しくて病院に行く時間がないという方も多いでしょう。単なる食いしばりで受診するのは恥ずかしいと思うかもしれません。
でも、歯や歯茎は失ったら元には戻らないし、全身に影響が出てからケアをするのも大変です。
健やかな生活を送るためにも、不安がある場合は専門家へ相談することをオススメします。
そして気が向いた時で良いので、セルフケアを実践してみてください。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

