「体が硬いから無理」「周りの人についていかれるか心配」「ポーズが出来なくて自分だけ浮いたらどうしよう」ヨガを始めようとしたとき、こんな考えが頭に浮かぶ方が少なくありません。
現役ヨガ講師のわたしも、初めてレッスンに来てくれた生徒さんに言われたことが何度もあります。
ヨガとは「今の自分自身と向き合い、心と体を整えるための時間」です。
初めてのことをする、または挫折したことに再チャレンジするときは、どうしてもネガティブな感情が浮かんできます。それは普通のことなので安心してください。
でも、それが原因でヨガが始められなかったらもったいないと思いませんか?
今回はヨガを始める前に躊躇してしまう思考や、ヨガを始めてから浮かんでくる感情についてのお話です。
リラックスして最後までお付き合いいただければ嬉しいです。
体が硬いから無理
ヨガを始める前、そして始めて間もない頃は「体が硬いから無理」と考える方が本当に多いです。だから、あなたがもしそう思っていても全然おかしいことではありません。
確かに、雑誌やインスタで見るヨガのポーズは、曲芸ですか?というようなものが多い気がします。だから不安になる方も多いのでしょう。ヨガは体が柔らかくなってから行うものと思っている方も実際にいらっしゃいます。
でも、違うんです!
体が硬いからヨガをするんです!
むしろ、体が硬いから、あなたの体はヨガに向いているんです!
・硬い人は体が伸びているのを感じやすい
体が硬い人は、少し動かしただけで「体が伸びている」「(痛)気持ちいい」という感覚を掴むことができます。これはポーズが、ヨガが体に効いているサインです。
逆に体が柔らかい人はこの感覚がつかみにくい場合があります。感覚がつかめないと、どんどんポーズを深めてしまい、体を使い過ぎてケガにつながる危険があります。
・成長(変化)を感じやすい
もちろんすぐに変化がでるわけではありませんが、継続して3か月もすると「前屈で手がついた」「あぐらが楽に組める」「最初の頃よりも足が広がった」など自分の体の変化を感じることができます。
「前回よりもできるようになった」という小さな変化がモチベーションになり、自信につながっていきます。これは体が硬い人の特権だと思っています。
体が柔らかい人よりも受け取れるものが多い。これだけでも、”体が硬いのも悪くないな”なんて思いませんか?
誰かと比べないこと
ここからは、ヨガを始めてから出てくる思考になります。
ヨガのクラスに参加するようになると、インストラクターや周りの参加者と自分のポーズを比べてしまい、「自分はできていない」「なんかみんなと違う気がする」と思うことがあります。
私たちの目は、自分以外の周りを見るために外向きについているので、どうしても周りが気になってしまうのは当たり前です。そして自分も他人から同じように見られているのではないかと思ってしまいます。
結果、無意識のうちに「正解」や「(他人から見た)美しい完成形」を求めてしまい、自分のポーズの形ばかりが気になってしまうのです。
本来、ヨガのポーズに正解も不正解もありません。ヨガは勝ち負けを競うスポーツではないからです。
「今のポーズが心地よいと感じている」か、「効かせたい場所に効いている」か、「呼吸は楽にできている」か、つまり自分の体がそのポーズをどう感じているか、「自分自身と向き合う」ことが一番大切なのです。
ポーズが浅くても呼吸が深く入ることの方が100倍大切です。だから、ヨガをやっているときは自分と誰かを比べる必要はないのです。
自分自身と向き合ったならば、どんなポーズを取ったとしても”今、わたしは気持ちがいいです”と胸を張ってくださいね。
そして、あえて不正解を挙げるとしたら、それはケガにつながるポジションを取った時だと思っています。
受け入れること
さらに継続していくと、「前回できたポーズが今回は全然できない」「今日はやる気が出なかった」なんてことを感じる時がきます。
最初の頃は、少しづつ出来るようになるのが楽しかったり、やる気が溢れているので、そんなことを思うヒマがないかもしれません。でも、長く続けていくと感じる時が必ずきます。
それは今日の自分の体の状態や気分をちゃんと受け取れるようになったという成長の一つだと思っています。
考えてもみてください。私たちの体と心は毎日同じではありません。
睡眠時間、食事、その日の天気、仕事のストレス、ホルモンバランス、ありとあらゆる要素が、その日のあなたの体調や集中力、心に影響を与えています。それはあなたが生きている証拠とも言えます。
わたしなんて、1日の中で何度も体調の波がくることは少なくありません。ジェットコースターのようですよ。
”前回スムーズにできたポーズが、今日はなぜか体が重くて難しい”
それは、あなたが退化したわけではなく、「今日のあなたはそういう状態である」というだけのことなのです。むしろ、それに気づくことができたことは素晴らしいことだと思いませんか?
もし、「あぁ、今日のヨガはイマイチだったな」と思ったら、出来ない自分を責めるのではなく「今日はそういう日なんだ」とまるっと受け入れてあげましょう。完璧な日なんてほとんどないのです。
「体が重いのは、昨日頑張りすぎたせいかな」「集中できなかったのは、寝不足かな」と、自分の内側の状態に気づけた自分を褒めてあげましょう。
できない日は休むことも大切です。それは”逃げ”でも”負け”でもなく、自分に対するいたわりです。
様々な気づきが、あなたの心と体を健康に導いてくれると思います。
休みたいときのポーズ
ここでひとつ、とても役に立つポーズをご紹介します。
それは「チャイルドポーズ」です。

実際、ヨガのクラスの中でよく出てくるポーズで、ポーズとポーズの合間に入れて休憩するときに使います。
もし、クラスを受けている最中に「冷静になれない」「一旦休憩したい」など、調子の悪さを感じたときはこのポーズを取りましょう。
自分だけ休憩するなんてと真面目なあなたは思うかもしれませんが、落ち着くまでの少しの間です。それに、インストラクターはあなたが休んでいることに対して特になんとも思いません。何らかの異変を感じたときにチャイルドポーズを取るということは、ヨガでは普通のことだからです。
【チャイルドポーズのやり方】
・正座から体を前に倒し、おでこを床につけます
(おしり浮いてOK/おでこがつかない人はげんこつをおでこの下に置いて高さを出す/お腹が苦しい人は膝を左右に広げる)
※チャイルドポーズが難しい方(膝が痛い、高血圧、妊娠中など)は、リラックスできる座り方に戻ります。
休憩しなかったとしても、ここに戻っていいと思える場所(ポーズ)があると安心しませんか?お守りみたいに心の中に留めておくと心が軽くなるかもしれません。
まとめ
最後にわたしの話を少しだけ。
わたしはヨガ講師をしていますが、体が硬いです。ついでに、プラスサイズなので曲芸のようなポーズは一つもできません。
ヨガ講師になってからだいぶ経ちますが、今回お話したような思考や感情は頻繁ではないものの、今でも出てきます。比べては受け入れての繰り返しでここまで来ました。(最初の頃は他人と比べてひどいものでした)
だから、ヨガを始めようとしているあなた、始めたばかりのあなたが思うのは当然のことなんです。
大切なのはネガティブをそのままにしないで、少しでもポジティブに変換すること。自分に優しい選択をすること。それもヨガの練習の一つです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
